日米地位協定 沖縄からの告発
(要約) 2
なぜ「日米地位協定の根本的見直し」なのか
オスプレイ 離着陸中
飛行中
2018年7月27日、全国知事会は「日米地位協定の抜本的見直し」を求めた。
(1)「日本国憲法の上に日米地位協定がある」実態とは
日米地位協定とは、米軍基地と米軍人の地位を定めた「駐留米軍地位協定」。
中身は「米軍『特権』協定」。これに加え「全ての事項」が日米合同委員会で決定
翁長前沖縄知事の県議会での答弁「日米地位協定が憲法の上にあり、日米合同委員会が国会の上にある。」
民間の土地が、突然米軍基地に
日米地位協定2条でアメリカがいつでも全国どこにでも米軍基地を置くことができる特権を定めている。
種子島空港跡地を米軍基地として提供。
「外務省機密文書 日米地位協定の考え方」は、米軍はどこでも施設・区域の提供を求める権利が認められていると記述。
県民の民意を無視した辺野古新基地の提供
普天間基地返還の代わりに代替基地として建設。
普天間基地はもともと銃剣とブルドーザーで奪ったもの。
だが辺野古新基地は普天間基地の機能を遥かに超える(2本の滑走路、弾薬庫、軍港)。
戦後初めて古都・京都へも米軍基地が
京丹後市へのXバンドレーダー基地建設。
住民の反対を無視し京都府知事は建設を受け入れ。
騒音被害、米軍の傍若無人の行動による交通事故発生、電波の影響で上空は飛行禁止に。
(2)オスプレイの配備・訓練の強行と地位協定
2012年MV22オスプレイが普天間基地に配備、2018年CV22オスプレイが横田基地に配備。
日米両政府は日米地位協定によりオスプレイや米艦船が日本国内を自由に飛行、訓練が可能で飛行場や港湾を自由に使えると説明。
一片の「接受国通報」で配備を強行
地位協定により、日本政府はアメリカの一方的な「通報」を拒否できない。(政府の見解)
オスプレイは日本政府や自治体によるなんらの規制も受けずに全国を自由に飛び回り、低空飛行訓練や空中給油訓練を強行。
オスプレイはこの間「不時着」事故を繰り返す。
「墜落」の危険を全国に拡散するオスプレイの低空飛行訓練
沖縄のオスプレイ配備時に沖縄の戦術着陸帯と全国の6つの低空飛行ルートで訓練を行うことが明らかに。→米軍が勝手に設定したもの。60メートル以下の超低空訓練も行っている。民間航空条約(人口密集地では300メートル、それ以外は150メートル以下の飛行を禁止)を無視。
奈良、高知での事故もあり。
米軍は事故報告書の中で低空飛行ルートを訓練航法経路と指定し全国に8ヶ所設定していることを明らかにした。これまでは国民に秘密。
低空飛行訓練は敵国のレーダーをかいくぐるための訓練。
住民の不安払拭には地位協定の抜本的改定が必須。
イタリアではロープウェイ切断事故(20名死亡)後、地位協定を改定し米軍の訓練はイタリア政府・軍の許可制に。
戦後73年、東京に日本の空はない。
地位協定は米軍の許可がないと飛行できない「米軍専用空域」を設定できることを規定。横田エリア(首都圏)、岩国エリア(中国・四国)、嘉手納エリア(沖縄)がある。
横田エリアは、政府は米軍の進入のための空域であって専用空域には当たらないと説明。しかし民間航空機が進入する際には米軍の許可が必要。横田エリアはCV22オスプレイの訓練空域になる計画もあり。
岩国エリアも米軍優先。国内線のパイロットは避けて飛ぶ。
日本の空では米軍に「最優先権」が与えられている
「米軍専用空域」だけでなく、日本の領空には米軍に「最優先権」が与えられている。
「航空交通管制合意」1952年に日米合同委員会で決定。
→米軍機に交通管制上最優先権を与える。1975年に「便宜を図る」と改正されたが正文である英文では事実上最優先権を与える文言になっている。また米軍が空中給油訓練や緊急時の出撃の際、米軍専用の飛行ルートを提供する「空域の一時留保」(アルトラブ)も取り決められた。
欠陥機がなぜ日本の空を飛べるのか
数々の米軍の特権を明記した国内法も存在する。
「航空特例法」で米軍に特権を与える。→危険なオスプレイが飛行可能に(オスプレイは自動車の車検証に当たる「耐空証明」を米連邦航空局より受けてないが適用除外)。
最低安全高度や曲芸飛行の禁止を明記した航空法は米軍機には適用されない。
オスプレイは2016年名護市で墜落、17年に沖縄伊江島、奄美大島、大分空港、新石垣空港に「不時着」→日米両政府の安全宣言は見せかけのポーズ。
日本の警察に捜査権もない事故処理
2016年名護市のオスプレイ墜落事故で、米軍は規制線を設置、報道陣や住民を排除。(2005年の日米合同委員会の取り決めとの事)
高江での米軍ヘリ炎上事故で、県警が入れたのは6日後に1時間だけ。機体は調べられず。
(3)絶対的権限を握る日米合同委委員会の闇の構造
日米地位協定25条で日米合同委員会の設置を規定。
米軍と米軍基地について絶対的権限を持つ。
日本の国家機構を総攬
日本側代表は外務省北米局長、米側は在日米軍司令部副司令官。外務省、防衛省、法務省、農林省、財務省、国土交通省、経済産業省などが傘下。
米軍の軍事優先体制を確保するために君臨。
合同委員会の協議・決定事項は闇の中。(原則非公開)
「対米従属」構造からの脱却を
合同委員会の仕組みは日米韓と韓米間のみ。NATOにはなし。
全国知事会が提言した航空法や環境法などの国内法を米軍に適用することは世界的に当たり前。
日米地位協定の抜本的改正への世論を大いに広げ高める時。