自民党憲法改正「条文イメージ(たたき台素案)」
【自衛隊の明記】
第9条の2
前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
②自衛力の行動は、法律の定めるところにより、国会承認その他の統制に服する。
→日米安保条約が存在するもとでは、ましてや集団的自衛権が行使容認された後では、自衛隊の海外での武力行使を可能とするものです。指揮監督権が首相にあるということは、閣議決定すら不要になる可能性があります。
【緊急事態対応】
第73条の2
大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。
②内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない。
第64条の2
大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で定めるところにより、各議院の出席議員の3分の2以上の多数で、その任期の特例を定めることができる。
→自然災害には緊急事態条項は必要ありません。「災害対策基本法」などで対応できます。
「法律で定めるところにより」としているので、災害の中に戦争などを含めることができます。「戦争ができる国づくり」(医師や看護師などの派遣や土地と物資の収容など)が可能になります。また個人の権力・自由を制限される可能性があります。戦前のドイツのワイマール憲法48 条の「国家緊急権」と同様に濫用される危険が有ります。
【合区解消・地方公共団体】
第47条
両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする。参議院議員の全部又は一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができる。
②前項に定めるもののほか、選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
第92条
地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし、その種類並びに組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。
→憲法を変えなくても合区を止める事はできます。
参議院選挙では都道府県単位にしなくても、複数の都道府県をまとめた選挙区があっても不都合はありません。
参議院議員が全国民の代表ではなく地元都道府県への利益誘導の窓口になる恐れがあります。
【教育充実】
第26条
③国は、教育が国民一人一人の人格の完成を目指し、その幸福の追求に欠くことのできないものであり、かつ、国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであることを鑑み、各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保すること
を含め、教育環境の整備に努めなければならない。
→教育充実には改憲は必要ありません。現憲法には義務教育の無償化という文言はありますが、中等教育と高等教育の無償化を禁止する文言はありません。