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志位和夫委員長と語り合う対話集会18問18答  

 

5月27日、千葉・船橋市で開かれた対話集会を、一問一答形式で編集しました。

①「抑止力」をどう考える?

 

②なぜ「長距離ミサイル」を持つの?

 

③なぜ「アメリカいいなり」なの?     

 

④日中関係を前向きに打開する共産党の提案とは

 

⑤万が一の時自衛隊「活用」はご都合主義?

 

⑥マイナンバーカード強制 どう見る?

 

⑦なぜ物価はあがっても 賃金はあがらないの?

 

⑧「異次元」より「普通」の少子化対策を!

 

⑨消費税減税してほしいけど 財政は大丈夫?

 

⑩日本のメディアはどうして真実を報道しないの?

 

⑪なぜ日本では再エネ利用がすすまないの?

 

⑫スウェーデン、フィンランドNATO加盟をどう見る?

 

⑬共産党は異論を認めないの?

 

⑭共産党はなぜジェンダー平等を訴えるの?

 

⑮「共産党」の名前を変えたら?

 

⑯政党助成金を受け取ったら?

 

⑰共産党のめざす未来社会は?

 

⑱志位さんの入党のきっかけは?
 

 

①「抑止力」をどう考える?

「抑止力」ということのご質問ですが、今岸田政権が、敵基地攻撃能力を持つ43兆円の大軍拡をすると言ってますね。日米同盟の抑止力を高めることが日本の平和につながると、抑止力の3文字で全部合理化しようとします。 抑止とは一体何か。 抑止は漢字で「抑えて止める」と書きますから日本を守るものだと理解される方も多いと思うんですが、実はそんな生易しいもんじゃない。「抑止」というのは英語で「デターランス」と言うんです。オックスフォード英語辞典という、ものすごい巨大な辞典にこう説明してあります。「抑止とは恐怖によって思いとどまらせること」「抑止とは恐怖なり」。つまり日本に何か万一のことがあったらひどい目に遭わしてやるぞという恐怖を相手に与えて抑えつけるのが抑止の考えなんです。私この前国会で質問した時に防衛大学校のある教授の方の抑止についての詳しい論文を引用したんです。 これも同じことが書いてある。 「抑止の本質は今も昔も恐怖である。抑止とは相手に恐怖を与えることだ。」そうしますと日本が相手に恐怖脅威を与えたら相手はどうします?もっと身構えて向こうも脅威で応えようとしますね。つまり脅威と脅威の悪循環が起こります。軍事と軍事の悪循環が起こります。これはよく「安全保障のジレンマ」って言うんですけど、日本を守るために軍備を増強した結果として日本のリスクを高めてしまうことになる。ですから私は抑止で平和を守るというのは幻想だとはっきり言いたいと思うんです。抑止の中でも一番悪いのは核抑止。これはいざという時には核兵器を使ってやっつけるぞという最も強い恐怖を与えることで抑えつけようという考えです。いざという時には広島長崎のような非人道的な惨禍を起こすこともためらわない立場です。これをこの前のG7であの広島から宣言したのは許すことできません。 相手に恐怖を与えるんじゃなくて安心を与える外交こそ必要なんじゃないでしょうか。 その点で私たち日本国民は憲法9条という素晴らしいものを持ってます。 戦争しません、軍備を持ちませんという条項を持っていることが日本の周りの国々、世界に対して恐怖でなく安心を与えていると思うんです。9条を生かした外交で、恐怖でなく安心を世界中に与えることによって平和を作ろうというのが一番の平和をつくる道ではないかと私は考えるんです。

 

​②なぜ「長距離ミサイル」を持つの?

私も最初よくわからなかったんです。今持とうとしている長射程ミサイルというのはトマホークだけでなく、 極超音速兵器と言うマッハ5以上で飛んで射程2000キロから3000キロのも持とうとしてる。なんでこんな物騒な兵器を持とうとしてるのか調べてみてわかってきたのが、ここに持ってきましたアメリカが中心になって進めている統合防空ミサイル防衛(IAMD)という仕掛けがあるんです。これ知られてないんですけども、とても重大な仕掛けで、今日持ってきたのはアメリカの統合参謀本部が出している統合防空ミサイル防衛(IAMD)の基本原則についての文書で、こんな厚いものです。統合防空ミサイル防衛という言葉にもあるように、相手からくるミサイルを落とすというオペレーションと、もう一つは相手国に敵基地攻撃で攻め込む。このミサイル防衛と敵基地攻撃をセットにした考え方がIAMDなんです。これをアメリカはヨーロッパでもアジア太平洋でも、地球的規模で構築しようとしている。これに参加するには自衛隊は敵基地攻撃能力を持ちませんと役に立たない。これに参加してアメリカと一緒になってIAMDをやろうというのが今の動きなんです。 この先がとっても怖いんですけど、この文書に出てくるアメリカの戦略では先制攻撃をやるとはっきり書いてある。つまりこちらがやられてなくてもこちらから攻撃することが大方針。そして攻撃する対象が書いてある。ミサイルサイト、飛行場、指揮統制機能(日本で言えば首相官邸とか防衛省とか)。最後にインフラストラクチャー。インフラをみんな壊していくんですから道路も橋もみんな壊すと、つまり全面戦争をやりますと書いてある。先制攻撃で全面戦争をやる仕掛けがIAMDなんです。これに自衛隊組み込まれちゃう。そのために敵基地攻撃能力を持つと恐ろしいことになりますね。アメリカが仮にイラク戦争みたいな先制攻撃を始めた時に一体化していて融合している自衛隊が一緒になって戦争することになる。その結果は相手の国に対して攻撃するわけですから報復がやってきますね。つまり日本が焦土になってしまう。これが今一番危険なんです。 ですから私は今の計画はアメリカが震源地でアメリカを守るための計画であって日本を守るためじゃないんだと、日本を守るためというのは嘘なんだという ことを言いたいし、みんなの力で止めようと訴えたいと思います。

 

③なぜ〝アメリカいいなり〟なの?

なぜこんなにアメリカ言いなりか、大いなる疑問ですよね。岸田さんに聞いてみたいと思うんですけど、私は歴史的に考えてみる必要がある問題だろうと思うんです。歴史的に考えますと3つの要因があると思うんです。第一は日本が戦争に敗れた後アメリカ軍によって占領されますね。この占領支配下でアメリカ絶対のいわばDNA(遺伝子)が日本の支配勢力にしっかり組み込まれたという7年間があるんです。 この占領時代は、占領軍は間接統治というやり方を取りました。つまり日本の政府を通じて命令してやらせるというやり方ですね。 当時マッカーサーを最高責任者にしたGHQが出す命令を絶対服従の形で日本の政府が実行した。一切議論は許しません。もう命令は絶対だったんです。 例えばこの時期にこんなこともやられました。1948年に公務員のストライキ権を奪ってしまう、公務員の政治的自由も奪ってしまおうという命令をマッカーサーは出すんですよ。 これも有無を言わさず政令の形にして、政令201と言う悪名高い政令が出されてストライキを奪う、政治的自由を奪う。だからつい最近も公務員の方が日曜日に自分の自宅の周りでビラをまいていた、それけしからんってことで弾圧の対象になって罰せられるという事件が起きましたね。今もこのひどい仕掛けが生きてるんだけども、 そういう絶対服従のDNAが7年間に植え付けられた。 しかももう一つ悪いことがありまして、この占領時代に侵略戦争をかつて推進した中心の人たち、戦後戦争犯罪容疑者とA級戦犯の容疑者というふうにされた岸信介とかそういう人たちを全部復権させていくんです。何で復権させたかというと共産主義と戦うには一番彼らが役に立つということで全部復権させていった。ですからそういう戦犯勢力が日本の政治の中枢に座っていくのもこの7年間。 こういう人たちにとってはアメリカは命の恩人でしょ。ですから、もう言うことは何でも聞くというこの遺伝子が最初の7年間に作られた。 これが一つ。第二の要因、日本はサンフランシスコ平和条約で独立しますよね 。1951年52年。この時に同時に日米安保条約という条約を結んだんです。 この日米安保条約という条約は、実は占領軍が持っていた無制限の特権をそのまま引き継ぐという、占領の延長のような条約なんです。世界にも、 こんなに外国の軍隊に対して自由勝手な特権を与えている体制ないんですよ。占領の延長のような条約をこの時に結んだ。 ですから今、日米地位協定が問題になってますでしょう。日本の米軍の地位を定めたものですけど、例えば国内法が米軍には適用されない。例えば日本の航空法では最低飛行高度が決まってまして住宅密集地では300m以上、そうじゃない地域も150メートル以上を飛ばなきゃならない法律があるんです。 これは米軍機は全然守ってないでしょ。横田から飛び立ったヘリコプターが都庁より低いところ飛んでる。これ問題になりましたよね。90年代なんですけども、 四国の高知県の早明浦ダムに米軍のジェット機が墜落した。低空訓練やってて墜落したという事故が起こったんです。 現地調査に近くの山の中まで行きました。でちゃんとこの高度を守ってますかと聞いたんですよ。山の中の大川村っていうところまで行きまして、 村長さんに守ってますかと聞いたら守ってません。この村長さんは山の中腹に自宅があるんですが、 「私の家の下を飛んでます。」これが今の米軍の無法ですよね。こんな国内法も守らなくていいなんて国は他にはないんですよ。 ヨーロッパにはNATOという軍事同盟がある。しかしみんな国内法を適用されるんです。 こんなに無法なことをやってるのは日本の安保体制だけなんです。それは ヨーロッパの場合は戦争に勝った国が、イギリスとかフランスとかベルギーとか 戦争に勝った国がまずNATOを作って、それにドイツなども加わってくるという形ですからやっぱり同じ軍事同盟でもかなり対等平等とは言わないけど一定の平等性がある。 日本の場合は占領の延長で安保条約が結ばれたから全然世界で最も異常な特権を米軍に与えている体制が作られた。これは2つ目の要因なんです。

その上で3つ目の要因。自民党の世代 交代って問題がある。どういうことかって言いますとね、自民党が作られたのは1955年。この時の 綱領政綱を読みますと、「駐留軍隊の撤退に備える」 つまり米軍は必ず撤退するもんだと書いてある。 私はかつて自民党の議員に「あなた方の先輩は 米軍撤退するって書いてあるんですよ」とこの文書を見せたんです。びっくりしまして、そんなこと書いたんですか。 最初は、いずれは撤退すると思ってた。

もう一つ言いますと 1960年に日米安保条約が改定されました。この時に安保反対の大闘争を起こったその時に、 この日本の国民の運動を何とか抑えなきゃなんないって思惑もあったんだけど、当時の岸信介首相がある仕掛けを日米安保条約の中に入れたんです。それは条約が改定されてから10年経ったら一方が通告すれば 通告で安保条約がなくなりますという第10条という仕掛けなんですね。つまり いずれは安保がなくなることを想定した条約なんです。 実はこの通告による安保廃棄の仕組みを岸信介さんの方から提案した。これも分かってるんです。 岸さんは最初5年経ったら通告でなくせるという状況を提案したんだけど、それが 10年になったけど、通告でなくせる道を開いた。ですから安保条約改定した時に、当時の自民党は やっぱり安保条約は永久不変のものじゃなくてなくなっていく道もあると条約にプログラムしたんです。ですから自民党第1世代は安保条約だって 永久不変じゃないという考え方があった。

ところが二代目三代目と代替わりに従っ て、そういうことを忘れてしまって、もう従属しているのが当たり前、従属していることを従属だと思わない風になってしまってる。もう本当に 頭の中がアメリカ言いなりなんですけどもアメリカ言いなりと思っていないアメリカ言いなり、これが一番私悪い状態だと思うんですね。

ですからこの3つの要素がある。占領下の問題、日米安保体制そして世代交代。そこまでがんじがらめになって今のアメリカ言いなりが起こってるんだけど世界見渡しますと東南アジアでも南アジアや中東でも もう軍事同盟なくなってます。ラテンアメリカでもリヨ条約というのはあったけどもう機能停止ですから、世界の大きな流れは 軍事同盟をなくそうって方向ですから、私たち日本共産党は国民の多数の合意で安保条約はなくして代わりに日米友好条約に変えようと言う道を進んでいきたいと思います。

 

​④日中関係を前向きに打開する共産党の提案とは

これ3月30日に出した「日中関係の前向きの打開のために」という共産党の提言なんですが、出そうと思った理由は、日中関係ってのは経済でも文化でもとっても大事な関係ですよね。みんな仲良くしたいと思ってる。ところがいろんな対立がある、紛争がある。やっぱりこの対立や紛争を絶対エスカレートさせてはならない。まかり間違っても戦争にしちゃならない。これをとても強く感じました。今、中国脅威論で煽られるような状況があるけどもやっぱり根拠のない危機煽りってのは私はよくないと思う。 もっと冷静な議論が必要だというふうに考えまして、どうやって対立を友好に変えることができるかと、日本共産党にできることなんだろうかとずっと検討してこの提言をまとめたんです。

この提言をまとめる際に私が考えたのは日本政府にも中国政府にも受け入れ可能なものにしようと、最初から受けられないようなことは提言の中に入れない。例えば提言の中には岸田軍拡に反対しますと書いてないんですよ。これ持っていったら最初からちょっとダメですと笑いますよね。それから中国に対する批判も、尖閣などでの行動については私たちの見解を書いてます。けれども全面的に批判する内容になってない。それを持ってったら話し合いが成立しないですから受け入れ可能なものにしよう、同時に実効性がないとダメですよね。それを本当に本気でやったら今の状況を打開できるという実効性がないといけない。 受け入れ可能で実効性のある内容にしていこうということでずいぶん検討していろんな文章を精査してみたんです。そうしますと日中両国政府には3つの共通の土台があると分かってきました。 これを生かして前に進もうというのが共産党の提言なんです。

第一の土台は 2008年に行われた福田首相と胡錦濤主席の日中首脳会談で交わされた日中共同宣言にこういう一文があります。「双方は協力のパートナーであり互いに脅威とならない 」と書いてある。これいいじゃないですか。 中国脅威論で煽られてるけど互いに脅威とならないというのが両国政府の合意です。これを生かしていく必要があるんじゃないか。

第二の点は2014年の日中合意なんですけど、尖閣諸島などの東シナ海で起こっている緊張状態について日中双方が異なる見解を持っているもとで 対話と協議を通じて問題を解決する、尖閣の問題は対話と協議で解決する合意がある。これもとってもいいじゃないですか。そして第3です。 この日本と中国が双方が参加するこの東アジアの平和の 枠組みとしてASEAN東南アジア諸国連合の皆さんが提唱している ASEANインド太平洋構想っていうのがあります。 AOIPという構想なんですが、これを日本も中国も支持している。この構想はどういうものかというと、ASEANの10の国+日米中など8つの国、合計18の国で作る東アジアサミットという枠組みがある。この東アジアの関係するどの国も排除してないんです。中国も排除してないアメリカも排除してない。みんな包摂する、インクルーシブしている枠組みがある。これは発展させていってゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約を展望しようという構想がAOIP。これとてもいいでしょ。このAOIPについて、日本政府も中国政府も支持しますと言ってる。だったらこれを一緒になって進めたらいいじゃないですか。

私はこの3つのとっても大事な点で 共通の土台があるんだからそれを生かした外交努力で日中関係を良くしていこうじゃないかという提案いたしました。

まずは岸田首相と党首会談やりまして説明しました。首相は殊勝な答えはしてくれまして「互いに脅威とならないという原則は 重要な原則で今でも維持してます」と答えました。 AOIPについては日本政府も支持してます、 とても重要な原則ですと言いました。最後にこの提言は日本にとって責任ある課題でありご指摘ありがとうございます。よく読ませていただいて建設的で安定的な日中関係を作るための外交に取り組んでいきたいといった答えです。だったら外交やってもらうじゃないですか。

その後、中国との会談が実現したのは5月4日のことなんです。 ゴールデンウィークの最中だったんですが新しく大使になった呉江浩さんと1時間半ほど会談をいたしました。そこで私たちの考えを全面的に伝えました。 それに対して呉大使の答えはこうでした。「日本共産党が駐日関係を重視し、中日環境の厳しさを憂慮している姿勢の現れとして高く評価します。全体として中国政府の立場と共通する方向性が多い。今後十分に対日関係の参考にしていきます。」こういう反応でした。つまり日本政府も中国政府も日本共産党の提言に肯定的な受け止めをしたわけですね。とても大事だと思うんですよ。中国の側は会談が実現するまで1か月くらいかかったんですが、だいぶ真剣な検討をやってますというのが途中でもあって かなり本国との相談もしながらこの回答をしてきたという感じがいたしました。ですから日中両国政府が日本共産党の提言を肯定的に受け止めた。これすごいと思いません?だったらこの方向で努力してほしい。互いに脅威とならない、これは大事だと両方認めたんだから日本は中国に脅威になる ようなことすべきじゃない、中国も日本に脅威になるようなことをすべきじゃない、お互いにこれを具体化していく努力が必要になりますよね。尖閣の問題も対話と協議で解決する、この重要性を認めたんだったらやっぱり力ずくのやり方じゃない解決方法を取るべきです。 そしてAOIPという枠組みを双方賛成してるのだったらASEANと協力してこれを成功させるために力を尽くすべきじゃないですか。ですからぜひここは双方が肯定的な受け止めて来た以上、これを実らせるために頑張りたいと思うんです。

実は沖縄県も同じような方向の県議会の決議を挙げてるんです。ですから沖縄と協力してやっていきたい。私は日中友好議連の役員やってます。日中友好議連の超党派の場でも、私、こういう方向が大事じゃないかということを提案しまして、それはいいねという声も頂いております。ですから超党派の合意にもしていく努力もしていきたい。ぜひこれを実らせたい。最後のご質問でなぜ出せたのかということなんですが、逆説的なように見えるんですが、日本共産党は中国のやっている東シナ海や 南シナ海での力づくで現状を変えようという覇権主義あるいは香港やウイグルでの人権侵害を一番厳しく批判してまいりました。 こういうやり方は国際法に反してるという国際法に照らした批判はずっとやってきた。そのうち最も冷静かつ厳しい批判をやってきた党なんです。やっぱりそういう政党の提起というのは重みを持って受け止められたんじゃないかと考えております。私たちがそういう中国の問題点について、曖昧にしてものも言わないという政党だったとしたらこういう提案できなかったんじゃないでしょうか。間違いは間違いときちんと言ってきたからこそ友好のための提案もできる。それ私の実感なんです。ですから私たちはこういう提案をしてますが中国側の問題点は厳しく批判していきます。 日本の岸田政権の問題点、さっき言った岸田さんとああいう党首会談やったからといって手加減はいたしません。徹底的にやっていきます。それはそれとしてやってきますが1点を大事にして前に進むということを求めていきたいと思います。

 

⑤万が一の時自衛隊「活用」はご都合主義?

まず日本国憲法と自衛隊が矛盾してることは明らかじゃないでしょうか。憲法9条 には 「陸海空軍その他戦力はこれを保持しない。」と書いてある。あの自衛隊が戦力ではないというのは到底成り立たないと思うんです。矛盾している。じゃあこの矛盾を解決する方法はどういう道があるかと考えますと、論理的に考えて2つしかないんです。

まず一つは自衛隊の現実に合うように憲法9条を変えてしまう。そうすればこの矛盾はとりあえずはなくなります。もう一つは9条という理想に向かって自衛隊の現実を変える方法で矛盾を解消していく道がある。どっちを取りますか。やっぱり後の方を私たちは取りたい。つまり9条の理想に向かって自衛隊の現実を変えていく道を取りたい。なぜならば私たちは日本国憲法9条は世界に誇る宝だと思っているからです。9条ほど恒久平和主義を極限にまで進めた条項を持ってる国はないですし、そんな憲法は世界にほとんどない。

そして私は9条があったおかげで、戦後自衛隊が作られて69年になりますけど一人の外国人も殺してません。一人の戦死者も出してません。 よく共産党が自衛隊は憲法違反だと、9条を守るなんていうのは自衛隊員に失礼だって話があるけど、自衛隊員の命を守ってきたのが9条だと、 そして9条を守ろうという国民の皆さんの世論と運動だと私は言いたいと思うんです。 ですから9条の理想に向かって自衛隊の現実を変えていきたい。ただいっぺんにはできない。いっぺんには変えられません 。国民の合意で一歩一歩自衛隊の現実を改革していくプロセスがどうしてもいる。ですから日本共産党が参画する民主的政権ができたとしてもその政権はすぐに自衛隊を解消するなんてことはできない。やっぱりその政権が9条の原則を生かした平和外交によって世界中の国々と仲良くなる、で日本の取り巻く安全保障環境も平和的に成熟する。そして国民のみんなが、圧倒的多数がもう自衛隊なしで安心だねという合意が成熟したところで初めて9条の完全実施に踏み出していこうというのが私たち のプログラムなんです。 そうしますと日本共産党が民主的政権に参画したとしても自衛隊と 共存する期間がありますでしょ。理の必然としてかなり長く続くと思うん です。 この共存する期間にもし万が一のことが起こったら、日本に対する急迫不正の主権侵害が起こったら、あらゆる手段を使って命と主権を守るなら当たり前ですから、当然自衛隊の活用もやるんだということを私たちは党の方針として決めてます。つまり簡単に言いますと9条という宝を将来にわたって守り生かす。これは一つ。もう一つは国民の命と日本の主権を守っていく。この2つを統一的にやろうと思えば私たちの政策が唯一の回答になるんじゃないでしょうか。 これを持ってご都合主義とは私は相手に返上したいと思います。自民党こそ憲法9条のもとでは集団的自衛権は行使できませんとずーっと戦後一貫してやってきた解釈を一夜にしてひっくり返して安保法制を作った。今度は敵基地攻撃能力が持てません、これもずーっと一貫した解釈だったのに一夜にしてひっくり返す、こういう自分自身が言ってきたことを何の説明もなく一夜にしてひっくり返すことこそがご都合主義だと私は言いたいと思います。

 

⑥マイナンバーカード強制 どう見る?

もともとこのマイナカードというのは、任意が原則で強制しませんということが本当の大方針のものなんですね。なぜ国民がマイナカードに不安があるかというと、政府が信頼できない、政府がちゃんと個人情報を守ってくれるのか信頼がないからですよね。そこで政府は何をやろうとしてるかというと無理やり持たせようとしてる。 健康保険証を廃止してマイナカード。医療費まで負担を重くしてまで持たせようとしている。これは絶対にやっちゃならないことだと思うんです。 今、大問題になっているのはそれに加えて大変な問題が出てきました。このマイナカードに他の人の医療情報が紐付けされていたことが出てきたんですね。 少なくとも7300件以上。これ氷山の一角でどれだけあるかわからない。 他の人の医療情報が紐付けされる。ですから我が党の 伊藤岳議員がこの前国会で追及したんですけれども、こういうことが起こりました。薬局にマイナカード持ってお薬取りに行った。そしたら薬剤師さんが、これどう見ても組み合わせの悪い薬だ。ですからこんなものを処方したら命にかかりますよ、本当にこれが処方されたんですかというふうに聞いてきた。そしていろいろ調べてみたら自分とは違う他人のものが紐付けされていたってことがわかって、すんでのところでこの人は間違った薬が出されないですんだんです。けれどもこういうことはあちこちで起こってきてる。これ恐ろしいですよね。他人も医療情報あるいは薬の情報、これで間違った治療行為とか薬の処方がやられたら文字通り命にかかる大問題になってくる。 ですからこういう状況の中で全国の開業医の6割の方々が参加している保健団体連合会(保団連)が、 緊急にマイナンバー法の改定案は廃案にすべきだという声明を先日出しました。その通りだと思います。そういう状況の中でもう一つ動きがありまして、加藤厚生労働大臣がこの間違った紐付けについて7月末までに調査をすると表明したんですよ。8月に発表する。 だったら法案を止めるべきじゃないですか。この6月21日までに法案通すのはおかしいですよね。まず調査が先じゃないですか。先日私、記者会見でこのマイナーマイナンバー法の改定案これについては国会での審議は中止すると、そして真相の解明を最優先するということを提案したんですがどうでしょうか。 ですからこういう問題が出てきましたから廃案にしていきたい。こういうひどいやり方で皆さんに押し付けるようなことはやめさせていきたい。

 

⑦なぜ物価はあがっても 賃金はあがらないの?

この10年間で実質賃金が年間24万円、月2万円減った。このペースで減り続けたらさらにひどいことになりますね。それで賃金は減ったんだけど、増えてるものは大企業の内部留保というお金ですね。溜め込んで500兆円まで膨れ上がって史上空前になってる。あるところにはお金はもう唸るほどあるわけです。 この内部留保をいかにして賃上げに回すかが非常に大きな課題で、重要性を否定する人はいないと思うんです。どうやってやるか。私は2つの力が大事だと思ってるんです。

第一は戦う労働組合の連帯した力です。私5月1日のメーデーに参加しました。全労連の皆さんがストライキを構えて物価上昇を上回る大幅賃上げがスローガン。ストライキをやろうと訴えて今年は昨年を大きく上回るストライキがやられた。例えば国立病院で働く方々が1時間ストをやりましたね。 それからスシローで働く非正規の皆さんがストライキに立ち上がった。そういう発言もメーデーで次々にありまして、私も本当に拍手しました。やっぱり戦わなきゃいけない。だってヨーロッパは みんなストライキが当たり前であれだけの大闘争やってる。ですから日本もストライキが当たり前の社会にしていくっことが必要なんじゃないか。私は資本から独立した戦う労働運動が今こそ大事だということで全労連の戦いに連帯のエールを送りたいと思います。 これは一つ。

もう一つの力は政治の責任で賃上げをやっていくことなんです。政治が決められる賃上げと言ったら最低賃金です。今最低賃金を、毎年7月に政府の最低賃金審議会というのが開かれる。これは最賃の目安が出てくるんです。7月ですから今が大事です。 最賃1,500円に引き上げろという運動をぜひ起こしていって政治の力で最賃を大幅に上げていくことに取り組みたいと思うんですね。 今ヨーロッパでは、フランスは1634円、ドイツは1740円、イギリスは1719円、もう1600円・1700円を超えてるんです。日本は961円。あまりにも低いですよね。最低の最低賃金になってる 。ですからこれは政治の責任でドーンと上げる。1500円なんて当たり前です。1500円というのは1日8時間働いて週休2日でやっと手取りで20万円です。手取り20万ぐらい国が保証しなくてどうするのかと私思います。ただこれをやるには中小企業への支援がなければ中小企業が潰れてしまう。日本共産党の提案はさっきお話した大企業の内部留保、このアベノミクスで膨れ上がった分に時限的な課税をやりまして10兆円ほどお金を作って中小企業の支援にドーンと当てて最賃1500円に引き上げようという提案をしております。この政治の責任で賃金を上げてくるこの取り組みをやっていきたいと思っています。労働者の戦いと政治の責任の両方で大幅賃上げをやって物価高を吹き飛ばす賃上げがあってこそ暮らしも守れる、これをやっていきたいと思います。

 

⑧「異次元」より「普通」の少子化対策を!

異次元じゃなくて普通にやってほしいと思うんです。あんまり言葉を走らせるんじゃなくて本当に願ってることを実現する必要がある。共産党は3つの柱を考えてるんです。

一つは子育てと教育に関わるお金の心配をなくす。やっぱり政府のいろんな世論調査見ても、経済的な負担が重いのでなんとかしてくれ、が一番です。高すぎる大学の学費は無償を目指してまず半分にする、入学金は廃止にする、奨学金は借金じゃなくて給付に変える、こういうことをやっていきたい。それから今奨学金を受けてる方々に対しては返済半分にする思い切ったこともやっていきたい。それから学校給食は憲法26条に義務教育は無償にすると書いてあるんだから国の制度として無料にしようじゃないですか。こういうことをまずやっていきたい。私がこの前に秋田に行った時に 大学生の皆さんと懇談する機会がありました。本当に大変で、高すぎる学費を払うためにアルバイト、深夜バイトをやってると。 ある女性の1年生でしたが徹夜バイトで朝6時まで働いていると。なかなかバイト先が見つからないってこともあって少しでも割高なところを探そうすると深夜バイト徹夜バイトになっちゃう。それで授業に出るのも大変だという訴えを聞きました。この事態は無くさなきゃならないと思いました。

第二の点は、学校とか幼稚園とか保育園の子供のための人を増やすこと。今千葉県でも大問題になってますよね、学校 の先生が足らない。テレビでも問題になりましたけれども教務主任の先生が担任も兼ねて2人分の仕事をやってるって事も大問題になってる。この学校の教員を大幅に増やして30人学級ができるような体制を作っていく。保育園も人が足りません。 保育士さんが足らなのは2つの原因がありまして、一つは処遇が悪すぎ、給与が一般に比べて8万円も少ない、これを一般並みに引き上げるのは当たり前。もう一つは配置基準が戦後全然変わってない。何人対何人っていう配置基準の見直しによって保育士さんも増やすことが必要です。

そして第三は安心して子育てができる働き方です。ワンオペ育児という、家事も育児も全部一人でやってる状況を何とかしてほしいと言われますよね。そのために2つが大事だと思うんです。家族的な責任を果たすことのできる働き方を保証する、例えば長時間労働、単身赴任、特に男性がそれを強いられて家事ができない子育てができない状況がありますよね。この長時間労働をなくす、家族的責任を果たさなきゃならない労働者の場合は単身赴任は禁止する。 それから男性の育児休暇の問題あります。取りやすくする上で3ヶ月は所得保障を100%にしようという提案をしてます。こういう風に家族的責任を男性も女性もみんなが果たすことができる働き方が必要です。もう一つはジェンダー平等を職場で貫くということで、女性は男性に比べて賃金はうんと低いという格差をなくしていく。女性の場合2人に1人以上が 非正規で、派遣パートアルバイトという不安定な働き方をさせられている事態も正していく。ジェンダー平等を職場で しっかり貫くということによって、安心して子育てできる働き方を 作っていく。

このお金の心配を減らす、それから人を増やす、働き方をしっかり変えていく。この3つの普通のことをちゃんとやることが大事です。岸田政権はこの普通のことを何一つ本気でやってない。 児童手当の拡充もいいですよ。しかし今言った3つのことを何も手をつけようとしないじゃないですか。そして児童手当についても、児童手当を高校生まで拡充するための財源をなんと医療保険料を上げることで作っていこうという。これひどくない?だって医療保険料ってのはいざという時に病気になった時のために払ってる保険料で児童手当とは別の話じゃないですか。ですからこれは目的外流用ってことになって筋違いなんです。こんなやり方で国民に負担増を求めて子育て支援をやるなんておかしい。だいたい高校生まで児童手当拡充するって言うんだけど中学生以下のご家庭にはメリットないわけですよね。中学生以下のご家庭には医療保険料の負担増しかかかってこないわけですよ。 これのどこが子育て支援かってことになりますよね。国民のこっちから負担を求めてこっちに回すというやり方はよくない。この前、出産のための支援のお金を高齢者の医療制度から持ってくる話があったでしょ。ひどいですね。高齢者と若い世代を対立させるなんてよくないですよね。誰だって最後は高齢者になるわけです。やっぱり対立させるんじゃなくて どちらも良くしていくっていう考えが必要だ。なぜこんな風な財源問題で袋小路に 陥いるかと言いますと、富裕層や大企業にちゃんと 税金を取ろうという考え方がないからです。それから5年間で43兆円ものお金を軍事費に使おうとしてるからです。この2つの手かせ足かせがはまってるものだから子育て支援といっても異次元といくら言っても 財源論で破綻してしまう。ここも政治を変えなくちゃならないことを訴えたいと思います。

 

⑨消費税減税してほしいけど 財政は大丈夫?

消費税の減税を私たちは強く求めてます。これに12.5兆円かかります。 その他にも医療や年金、教育、様々な面で暮らしを良くしていくことが必要で、共産党としては緊急の政策を実行するために全体で20兆円の財源政策を明らかにしているんです。ここでまず述べておきたいのは、国債を出せばいいじゃないかって議論がありますよね。例えばコロナの対応のように一時的なものは国債を 出してしっかり対応して命を守っていくのは当然だと思います。しかし毎年毎年かかるものを国債でまかなうことは安易にすべきではないというのが共産党の見解なんです。 なぜかと言いますと、国債がどんどん雪だるま式に膨らんでた場合、戦後の一時期に経験があるようにものすごいインフレになっちゃって、そして国民の資産がすっかりなくなっちゃうという危険がどうしても出てくるわけですよね。それからそこまでいかなくてももう一つ問題があるんです。今国債どんどん発行してますでしょう。引き受けているのは日銀です。日銀が国債を引き受けている。そうしますと国債の利払いをしなきゃならないわけです。ところがこの国債の利子を上げたらとても払えなくなるでしょ。だから超低金利政策をずっと続けざるをえない袋小路に入ってる。 しかしこの超低金利政策をずっとやってきた結果が 異常円安と物価高騰じゃないですか。ですから国債をじゃんじゃん発行して日銀が引き受ける異次元の金融緩和政策が今の物価高騰を作り国民の生活の困難を作ってるわけです。ですからこの国債をじゃんじゃんという問題っていうのは、ハイパーインフレって問題だけじゃなくて、現時点でも国民の暮らしを苦しめてるんです。ですからこれはどうしてもチェンジしていく必要がある。私たちとしてはちゃんとした財源論がいる。私たちはまず富裕層と企業に対する優遇税制をやめようじゃないか。所得1億円を超えますと所得税の実質負担率が下がっちゃうという有名な1億円の壁、これは共産党の大門美紀史議員が国会で取り上げて今では財務省も使っているという有名なグラフなんですが、この1億円の壁を崩して富裕層にも払ってもらおうと。それからもう一つ、大企業と中小企業の法人税の実質負担率が中小企業の方が高いんですよ。大企業が低い。大企業優遇税制があるから。これもせめて中小企業並みに払ってもらおうじゃ ないか。こういう優遇税制を止める、そして安倍政権で法人税が28%から23%まで下がった。元に戻そうじゃないか。それから住民税所得税の最高税率も上げていく必要がある。そういう富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革をやります。

もう一つは無駄遣いをメスを入れる。無駄遣いの中でも最たるものは大軍拡です。軍拡ではなくて冒頭言ったように安心を供与することで平和を作っていく立場に変えて大軍拡にお金を入れるのはやめる。大軍拡に一方で43兆円もお金を入れながら財源論をいくらやったって穴の開いたバケツに水入れてるようなもので、きりがないでしょ。ですから富裕層と大企業への応分の負担を行うこと、浪費をなくし大軍拡を止めること、この2つによって私たちは 20兆円の財源作る具体的提案をやってるんです。今政党の中でそういう財源論を真面目にやってるのは共産党だけなんです 。やっぱり自民党ももう財政健全化って言わなくなって、軍拡に43兆円ですからもう財源論破綻です。そういう中で本当の意味で財源に対して責任ある政策を持ってるのは日本共産党ですから、ぜひこの面でも私たちを伸ばしてほしいとよろしくお願いいたします。

 

⑩日本のメディアはどうして真実を報道しないの?

私は実感的に申しますと、小選挙区制を導入した90年代の初頭に一つ大きな変化があったと思っておりまして、あの時に選挙制度審議会の第7次審というのがやられまして、その審議会の中に全部のマスコミの幹部が入ったんですね。全部のマスコミの幹部が入って一緒になって小選挙区制を導入しようという答申をまとめた。ですからあの時は本当に全部のメディアが小選挙区制の大合唱になって法案が強行されたというのがありまして非常に大きな転機になったように私には感じられます。それ以降ですね、この悪い癖ができてしまって政府の審議会にメディアの幹部が入るというのは当たり前になってしまった。 メディアは政権に対して監視する、これは仕事ですよね。そういう審議会に最初から入って政府と一緒になっていろいろな政策を作るのは邪道ですよね。それがこう当たり前になってしまって今度の大軍拡もそうなんです。12月に答申が出た政府の懇談会にも主要なメディアの 幹部がみんな揃った。ですからあの岸田大軍拡・安保三文書のもとを作ったのは メディアも入った懇談会なんです。自分が作ったものですから批判できない、こういう自縄自縛にはなってるメディアの中で、やっぱり新聞赤旗がありますから、新聞赤旗は最近Twitterでもトレンド入り してますが、これを大きくしていって、メディアの中でも真面目に頑張ってる方々はたくさんいますからこういう方とも連携していきたいと思います。

 

⑪なぜ日本では再エネ利用がすすまないの?

2つあるんですね。1つは原発依存がひどすぎる。ドイツなどでは原発撤退をついに決めて基本的に撤退の方向になってますね。日本は原発に回帰するという方針の転換をやってる。やっぱり原発頼みってのが再生可能エネルギーが進まない一つの原因。

それからもう 一つは、ヨーロッパの全部の国とアメリカが決めている石炭火力発電所からの撤退期限を持ってない国は日本だけなんですよ。 この前G7サミットも大きな問題になって石炭火力って一番 CO2をたくさん出すので大きな問題で撤退すべきだと他の国はみんなG7でもそうなったのに日本だけは三浦半島に新しいのを作ろうとしてますでしょ。ですからそういう2つ大きな問題がある。電力の大手の会社を中心とした利益の共同体にしがみついた政治の歪みを正す必要があると思います。

 

⑫スウェーデン、フィンランドNATO加盟をどう見る?

私たちはやっぱりNATOが拡大するのには賛成できません。フィンランドがいろんな

歴史的事情からああいう選択をしたのはフィンランドの主権の問題ですから、これはけしからんと言っておりませんけれども、やっぱり軍事同盟の拡大には反対です。この前オーストリアのウィーンで欧州左翼党の大会がやられましてフィンランドの左翼同盟の代表も参加した。この左翼同盟はフィンランド与党です。党がNATO加盟に反対と賛成と2つに割れてしまって、自分はNATO加盟に反対なんですということをその代議員はおっしゃって、必ずNATOから抜けてここにちゃんと戻ってくるということも言ったようです。けれどもなかなかそういう厳しい状況の中で ヨーロッパでも左翼が頑張ってるっていう状況があるんですけれどもこういう方向は私たちは反対なんです。やっぱりNATOを拡大していった、ロシアはロシアで 軍事で対抗してた、この軍事対軍事の対抗がああいう戦争につながったという失敗はあると思うんです。実はヨーロッパにも全欧安全保障協議会(OSCE)というヨーロッパの全部の国とロシアも入った、アジアで言えば東アジアサミットみたいな仕組みがあるんです。これをしっかり発展させていけば私は戦争にならなかったと思うんだけどせっかくそういう枠組み作りながら双方とも横に置いてしまって軍事対軍事の対立に陥ったことが背景にあると思います。もちろん悪いのはロシアです。侵略やってるロシアが挙げて責任あるんですが背景にはそういう問題もあった。ですからそういうことも含めますとNATOを広げていく方向に平和の方向はないと思っております。

 

⑬共産党は異論を認めないの?

共産党は異論を認めない党という批判がいろいろとメディアからされております。これは事実と違うんですね。規律に違反して党から除名になった人がいますけれども異論も述べたからじゃないんです。共産党は党の会議で自由に意見を述べることができますし 党の方針が違うと思ったらその意見を述べることも自由です。それから党内の誰に対しても意見を言うことできます。そして回答を求めることもできる。問題はそういうルールにのっとって意見を述べるという努力は一度もしないでいきなり出版という形で党の外から党の規約や綱領に対する事実に基づかない批判、私は攻撃と言っておりますがそれを行ったから私たちはああいう対処をしたというのが経緯であります。 私たち、党の統一と団結ってことはうんと重視しておりますが同時に民主的運営ってこともうんと重視してまいりました。まだまだそれが足らないという批判もあるかもしれない。努力をしなければならない点は多々あると思います。しかし例えば党大会開くときにどういう努力をしているか見てほしい 。2020年の第28回党大会の時には、これ毎回党大会でそうなんですか2か月以上前に党大会にかける議案を発表するんですね。全党の皆さんで討議するんです。そしてその全党討論ではなかなか出てこないような少数の意見については特別の 雑誌を発行しましてそこに掲載するということもやってきました。そういうみんなの意見で議案を練り上げる。で2ヶ月以上議論するんです。前の大会の時にこういうことがあったんです。大会で綱領一部改定しましてジェンダー平等を明記したんです。それにかかわって 1970年代のことなんですが新聞赤旗に同性愛について否定的に捉える論文が掲載されていたということがあった。これに対して間違いを認めてほしいという意見が全党討論で出されました。私たち調べてみましたら確かにそういう問題があった。私はこれは大変大事な問題だとみんなで相談しまして大会のまとめの発言の中で70年代 にこういうことあったけど間違いだったということを党大会の意志としてはっきりさせておきたいということを表明もしたんです。これは全党討論をやらなかったらひょっとしたら私たちは気がつかないで見過ごしてしまったかもしれない。しかし、もし見過ごしては大変だったと思います。やはりこの2、3年見ても、そういう性的マイノリティLGBTQの皆さんの権利を守っていく、差別をなくしていく、日本社会でもこれだけ大きな発展がありますでしょ。その時にもし万が一わが党がジェンダー平等って綱領に書きながら、過去のそういう同性愛に対する間違った見解をそのままにしてしまったら大きな汚点になりましたよね。ですからこれは本当に全党討論によって党自身の認識が豊かに発展したというようなことをやってる党なんだということをぜひ知ってほしいと思います。

何でバッシングされるのかということについてのご質問なんですが、率直に言って、やっぱり日本共産党が 日本の社会を大元から変える志を持ってる革命政党だからです。革命と言っても何か怖い話じゃなくて世の中の仕組みを元から変えようってのが革命ですよね。日本で言えば今日話したようなアメリカ言いなり財界中心、この2つの歪みを正す民主主義の革命をやろう、そしてその先の社会主義・共産主義に進んでいこう、これは私たちのプログラムだけどそういうふうに日本の 社会を大元から変える志を持ってる。だから相手から見たら怖いわけですよね。邪魔なんです。あのバッシングはそこに原因があると思うんです。この間の共産党に対するバッシングの大嵐がどこから始まったかと言うと2021年の総選挙なんですよ。あの時私たちは野党共闘をしっかり確立して共通政策を21項目結んで政権合意も結んでそして選挙協力もしっかり体制を作った。そして野党共闘で政権交代を目指そうということに正面から挑戦しました。私はあの挑戦は意義がある挑戦だったと思います。しかし相手からすれば心底恐ろしかったと思うんです。ひょっとしたら共産党が参画する政権ができるかもしれない。そんなことになったら大変だと心底怖かったんだと思うんです。選挙戦も特に中盤以降最終はものすごい攻撃でした。野党共闘は野合だ共産党は暴力革命だ、もう徹底的な攻撃が雨あられとやられてそれに効果的に反撃するっていう点で野党の側にも問題点はあったと思うんですけども、残念ながら政権交代まで行かなかったんだけども、しかし59の候補者で勝ったわけですよね。東京などでは大物を落とした。あの時相手からすると共産党が政権に入るようなことになったら大変だっていう風に心底思ったと思います。その後、22年の参議院選挙でも攻撃が続いて、そういう流れの中で今岸田政権が大軍拡やろうとしている。今、この大軍拡に対して国会で真正面から間違ってますよと戦ってる党、そして日中関係のこともお話したけれども、平和の対案を抱えている党は日本共産党しかないんです。日本共産党しかないという状況がある。だからどうしてもこの日本共産党を、この大軍拡を進める上でも邪魔で邪魔で仕方がない党をやはり抑えつけたいという流れの中でこの間の動きが起こってると思うんですよ。ですから蜷川虎造さんという京都で長年府知事を務めて民主府政を長年やって全国の革新自治体の灯台と言われた業績を残された方が、かつて「反共は戦争前夜の声」と言ったことがある。これは歴史の教訓ですよ 。あの太平洋戦争に向かう時期にまずやったのは共産党への弾圧、治安維持法でありました。で小林多喜二、野呂栄太郎、私たちの先輩が迫害を受けて命を落とした後にやってきたのが侵略戦争じゃないですか。ですから私はこの日本を再び戦争前夜にしちゃならないってことを皆さんに訴えたいと思います。そしてですね、今日この質問があるって言うんで昨日マルクス・エンゲルス全集をパラパラめくってマルクスはどういう風に言ってたかなと思って見たらやっぱりこういう言葉があったんですね。マルクスが1883年に亡くなります。その時にエンゲルスというマルクスの本当の盟友が葬儀で述べた、こういう言葉があるんです。「マルクスは何よりも革命家だった。マルクスが当時最も憎まれ最も誹謗された人だったのはこのためだった。政府は競って彼に中傷の虚言を浴びせ彼はこの全てを蜘蛛の巣のように払いのけそれをものともせず、やむを得ない時にしか応えなかった」ということなんですけども、やっぱり日本共産党に対するこの間のバッシングというのは日本共産党が日本社会を表から変える志を持っている革命政党であることの証であってね、私は堂々と誇りを持って打ち破っていきたいと決意をしております。共産党が攻撃されなくなったらおしまいです。やっぱりそういう攻撃がされるというのはやはり相手にとって手ごわいからだというふうに我々自覚して 頑張りたいと決意しているところでございますのでどうかよろしくお願いいたします。

 

⑭共産党はなぜジェンダー平等を訴えるの?

ジェンダー平等社会ってのは何かと言っ たら男性も女性も多様な性を持つ人々もみんな差別なく平等に尊厳を持って自分の力を存分に発揮できる自分らしく生きられる,そういう社会を目指す取り組みだと思うんです。そういう社会でこそ私は社会全体の豊かな発展も可能になると思うんです。このジェンダー平等って私たちは一分野の問題じゃなくてあらゆる分野でジェンダー平等の視点を貫くことが大事だと思います。例えば今日お話しした男女の賃金格差をなくしていく、これは本当にそれができたら働く人全体の賃金がぐっと上がりますよね 。ですから賃上げ、労働者の権利を守っていく上でジェンダーを欠かしてはできませんよね。それから平和とジェンダー平等ってことも結びついてる。 私は、女性が平和構築で主役になってこそ前進すると思っています。今の国連の軍縮担当上級代表は中満泉さんという日本人の女性がやっておられて私も国連でもお会いしたし日本でも何度もお会いしてるんですけども、大変素晴らしい働きをしてます。やはり女性の視点で見えるものがある、豊かになってやっぱり女性が平和の面でも中心に座ってこそって本当に思います。私が2017年の核兵器禁止条約の国連会議に出た折りにですね、中心的に頑張ってる方はみんな女性なんですよ。 会議の議長を務めたエレン・ホワイトさんというコスタリカの女性外交官、それから中満泉さんが国連の代表で参加している。それからNGOの参加する人も半分以上は女性ですから本当に女性が輝いてあの核兵器禁止条約を作ったと思います。私たちも負けずに頑張ったんですけど、そういうジェンダーの視点を本当にあらゆる分野で貫くことが大事だと。その上でなんですがやっぱりジェンダー平等っていうのは政治を変える取り組みと一体だと思うんですよ 。なんでこんなに日本がジェンダーの問題で遅れてるかっていうと 2つの根がある。一つはやっぱり財界と大企業が 口ではジェンダー平等って言うんですよ。しかし実際は儲け優先になってさっきお話したような男性には長時間労働と単身赴任を強いる、女性には不安定雇用と家事労働を強いる、こういうことを実際はやらせますよね。それからもう一つの根は、やっぱり戦前がいいと思ってる人たちですよ。 戦前が美しい日本だと思ってる。男尊女卑の社会は良かったと本音では思ってる人たちがやっぱり自民党の中の一つの流れの中としてある。だから選択という夫婦別姓もいまだに実現しない、同性婚も実現しない、LGBTの理解増進法ですら今壊そうとしているのが自民党のそういう勢力です。これはもう時代遅れの勢力。この2つの流れを打ち破っていかないといけない。最後にジェンダー平等を進める上ではこれは一人一人の生き方が問われる問題ですからやっぱり真剣に自分と一人一人が自分の生き方に向き合って変えるべき点は変えていく努力が必要だと思うんですね。私自身も綱領でこれを掲げた時に、自分の人生を振り返ってみましていろいろと恥ずかしいこともあるなということで、多々反省しなきゃならないと思っても自分自身にもあります。ですから党員一人一人も共産党員としてもあるいは党組織としても知らず知らずのうちにこのジェンダー不平等のシャワーみたいなものが浴びせられて、なんとなくこうそういうものの歪みが共産党の中にもまだ残されている、また存在する、これは事実だと思うんで、こういうものはやっぱり改革していく必要があると思うんですね。私自身としては例えば今常任幹部会って私たちの組織があります。これは毎週1回やってるんですが、この組織の中に女性の方を増やすってことは努力してきたんですが、この女性の幹部の皆さんが毎回の常任幹部会でとても活発に発言してするんですけども、それ聞いておりましてね、私本当に思うんですけど我々男性には世界の半分しか見えてないことがあるな、いや本当にやっぱり女性だからわかる視点を感じます。ですからやっぱりあの女性ならではの、女性でわかることですよね、そこに私たちが耳を傾けて真剣に学んでいくという姿勢でやっていきたいなと。

 

⑮「共産党」の名前を変えたら?

いろんな答えがあると思うんですが、共産主義は英語で言うとコミュニズムなんです。この語源はラテン語のコムニスです。コムニスは共同という意味です。 つまり人間と人間が共に支え合って生きていく社会にしていこうと。人間と人間が角付き合わしていがみ合ってる社会じゃなくて支え合っていく共同社会をつくろう、これがコムニスでありコミュニズムであり共産主義なんです。よくコミュニティセンターってあるじゃないですか。直訳すると共産センターになる。 コミュニティホールは共産ホールとなる。そういうのが語源で、元々はそういう意味があってそれを具体化して発展させていく中にマルクスの業績もあったのですね。

それからもう一つ言いたいのはそういう質問された方に、逆に問いかけていただきたいのは、それじゃあなたは資本主義が人類が到達した最後の社会だとお考えですかと聞いてみたらなんと答えるでしょうか。人類の社会をずっと振り返ってみたら、どんな教科書にも載ってるように最初には原始共同体があった。奴隷制になり封建制になり資本主義になり ずーっと社会の制度は変わってますよね。江戸時代に住んでた人たちは、まさか幕藩体制が変わるとは思いもしなかったと思います。しかし幕藩体制は終わりを告げて変わった。 ですから資本主義でおしまいだと思いますかと問いかけてみてほしい。こんな資本主義で貧富の格差がある、 環境破壊があるじゃないですか。 やっぱり儲け中心の社会ですからいろんな歪みがある。こんなにも矛盾だらけで苦しみが多い社会で人類はおしまいですかと。私たちはそう考えてないんですと。そこから先の説明は大変な難しい面もあるかもしれないけど私たちは先に進めると。いろんな資本主義の矛盾を乗り越える力はあるんだというのが私たちの考えなんですと答えてみるのも一つの方法かな。最後に私たちが目指すのは、旧ソ連、潰れてしまった旧ソ連や今の中国のような自由も民主主義も人権もない社会ではありません。やっぱり資本主義のもとで勝ち取った価値あるすべてのもの、特に自由、人権、民主主義、豊かな個性、これみんな引き継いで発展させていくというのが私たちの立場ですということもお話しいただいて、共産党っていう名前はとってもロマンチックな名前ですからぜひご理解いただいてご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

 

⑯政党助成金を受け取ったら?

受け取らない理由は3つある。一つは憲法違反という問題です。この政党助成金という仕組みは、国民1人当たり250円と決まってるんです。 それで総額315億円。国民の数が減れば総額も減るんですよね。ですから総額が決まっていて、それを配分するというのでもない。制度の設計が国民1人当たりとなってます。そうしますと例えばあなたが250円を払い半分以上が自民党に強制的に行くということになりますと自民党に対する強制カンパになるじゃないですか。つまり思想信条に反してある党に対するカンパが強いられる、これはもう根本的に憲法に反している。ですから、私たちはまず憲法違反であって制度そのものに反対だし受け取らない。

同時に2つ目、やせ我慢でもらってないわけじゃない、やっぱり政党を堕落させるって面があるんですよ。政党っていうのはやっぱり 草の根で国民と結びついて 草の根で国民の皆さんの様々な財政的な支えで活動するってのが本来の在り方じゃないですか。それを国営政党みたいになって国からのお金に頼ってやっていったら堕落が始まるんじゃないでしょうか 。麻薬みたいに一旦打ち始めると中毒になって税金依存政党になったら私は堕落だと思う。こういう問題があるんです。数字を調べてきたんですけど、共産党は仮に政党助成金を受け取ったとしますと11億円。すごいとおっしゃいますけど、個人献金をどれだけ我が党は1年間で集めてるか。80億円です。共産党に個人献金をしてくださる方っていうのは、多くは苦しい生活の中でも少しはと思って出していただく方がほとんどだと思うんですよ。それが80億円。もし税金をもらったらこの個人献金は集まるでしょうか?

税金でやってるんだったらわざわざその上に献金を出す必要ないってことになるんじゃないでしょうか。ですからこういうせっかくの結びつきが絶たれてしまう。 11億円もらったおかげで80億円がふいになってしまうということにもなりかねないわけでありまして、ここは草の根で支えられた財政を作っていくことが大事だと思います。

最後に3点目がある。私はこの政党助成金はいずれ廃止するときがやってくると思う。政党助成金を使った大規模な買収事件も起こったじゃないですか。ですから廃止するときがやってくる。その時に全部の党が政党助成金をもらっていたら廃止にならない。 どんな政党助成金を巡って矛盾が起こってきてもダラダラ続くことになりますよ。いずれ廃止する時がやってくる、その時に共産党が頑として廃止を言い続けてきたことが生きる時は必ず来る。共産党までもらっちゃって全部の党が政党助成金を認めちゃったら廃止する道がなくなってしまう。私はこの 315億円はきっぱり廃止する、これで頑張りたいと思っております。どうかご理解 よろしくお願いいたします。

 

⑰共産党のめざす未来社会は?

どういう社会かと言いますと 、労働時間がうんと短くなる社会になる。そのことによって全ての人間が自分の能力を自由に全面的に発展させることができる社会が私たちの目指す社会なんです。マルクス・エンゲルスが若い頃に書いた「共産党宣言」という有名な本の中にこういう一節があるんです。「各人の自由な発展が万人の自由な発展の条件となる一つの結合社会」とちょっと難しい言い方なんですが、個々人みんなが自由に発展することが 社会みんなの自由な発展の条件になるような社会、これが「社会主義・共産主義」だと言い切ってるんですね。どういうことかと言うと、人間というのはみんな自分の中に様々な能力、才能、可能性をみんな持ってる、これが私たちの人間観なんです。ある方は芸術家のある才能があるかもしれない、ある方は科学者になるかもしれない、ある方はアスリートの才能、ある人はスキルを職人になっていく力を持っているかもしれない。いろんな才能をみんな持ってる。ところが資本主義の世の中だと生かせて発揮できる人はいるけれど極一部で、多くの人が才能があっても埋もれたままになってしまってる。どうやってみんなが自分の才能を豊かに開花させることできるか。労働時間を短縮する。自由な時間をみんなが持てるようにする、例えば1日3、4時間労働で週3、4日でいいというふうになったら相当 自由時間がありますね。自由時間がそれだけできたらその時間を使って遊ぶ人もいるでしょうし、遊ぶことも結構なんです。遊びの中にも新しい発見があるはずで遊びもいいんだけども、やっぱりそういう自由時間ができたら自分の能力を発展させるために使おうとするでしょう。個々人がそうやって自由に発展することが社会全体の豊かな発展につながっていく、これが万人の自由な発展なんですね。 これが私たちの展望なんです。社会主義・共産主義になると何で労働時間が短くなるかと言いますと、人間による人間の搾取がなくなる。計算してみましたら今日本の産業の中で、平均して労働時間の半分は搾取です。つまり半分はただ働き。8時間働くとして平均して4時間は搾取されている時間。この時間が社会の再生産のためのファンドが必要ですから全部とは言いませんけど、かなり労働時間短縮になりますね。もう一つは資本主義というのは効率的な社会に見えて、とってもとっても浪費的な社会なんです。例えば恐慌や不況が起こるじゃないですか。派遣村ができた時のような。ですから一方で大企業は儲かっている一方で失業者は町にあふれてる、もう浪費の最たるものですよね。これが避けられない。それから資本主義というのは大量生産、大量消費、大量廃棄を避けがたい。そこからいろんな浪費が生まれて環境破壊が行われる。この浪費ををなくせば、 どれだけ労働時間が短くなるかと思うんですよ。ですから労働時間を短くすることによって本当に全ての人が自分の豊かな発展を勝ち取る社会、これが社会主義・共産主義なんです。 中国共産党との関係がありました。先ほどちょっと言ったように、私たちは資本主義のもとで勝ち取った価値あるものを全部引き継いで発展させて花開かせる。自由と民主主義の制度もそうです。人間の豊かな個性もそうです。様々な価値あるものは全部後退させないで豊かに引き継いでいくという立場で、一党独裁とかそういうものとは無縁だということもはっきり綱領で謳っているところです。中国との違いという問題があるんですが、いろんな問題点があって指導者の誤りも中にはあったと思う。しかし根本的に言いますと革命の出発点が違う。1949年の中国革命の時点で中国にはまともな議会はありませんでした。中華民国だったけど軍閥が割拠している。日本が侵略している。議会がなく、議会の経験はないんです。そんなところから革命が出発する。ですからそういういろんな制約がある中からいろんな問題点も生まれてきた。日本の場合、曲がりなりにも日本国憲法のもとで自由と民主の制度がある。そして70年を超える歴史もある。それは国民の中に定着している。そういう状況を踏まえて先に進むわけですから中国のようなところに逆戻りするってことはありえないんです。ですから発達した資本主義で社会主義に踏み出すというのは人類初めての経験なんだけど、これは全く条件が違うところでやるわけですから、ああいうふうなことは心配しないで、どうかご安心のほどよろしくお願いいたします。

 

⑱志位さんの入党のきっかけは?

私の両親が日本共産党員なんです。父は亡くなりましたが母は96歳で健在です。2人とも共産党員で頑張ってきました。ですから小さい頃から赤旗を読んでましたし共産党への信頼はとても強いものがありました。私の亡父は船橋小学校から教員生活をスタートしたんです。中学校卒業ですから代用教員という制度が戦後にあって、それでなったんです。父が一番最初にやったのは学校の用務員の方々やそういう方々と、下積みで一番苦労されてる職員の方々と仲良くなって教職員組合を作るというところから始めたと聞いております。ですから船橋教職員組合の場合、教員組合じゃないんだ、「教職員」と職員も入ってるところが大事だぞということを言った人でした。父の 口癖は世のため人のために自分は頑張るんだということで、誇らしい思いで聞きました。ただ両親から私に入党する事を勧められたことは一度もないんです。本人の意思に任せようと考えていたようです。ただ環境整備はいろいろやってたようで、例えば マルクス・エンゲルスの古典をそっと私の机の上に置いてなんか面白いこと書いてあるぞみたいなことを言って読ませようとした中には読んだものがありました。大学に入りまして友達ができて学生運動をやりました。当時あの田中内閣の時に小選挙区制が出てきまして、それに反対する大闘争が駒場の キャンパスでも起こってストライキもやりまして、みんなで毎週1回ぐらい国会までデモするという中で「君もどう?」って言われて入ったのが大学1年生の 時であります。入党して大切にしたことは、やっぱり世のため人のためということに尽きますね。一番困ってる方、苦しんでいる方、不安に思ってる方の気持ちの代弁者になって解決していくってことが国会の質問でもいろんな党の活動全般でもいつも心がけてきたつもりです。まだまだ至らない点も多々あるかと思いますが、 やっぱりこの道に進んでよかったと思います。最後に一言だけ申します。この中に日本共産党にまだ入っていらっしゃらない方もたくさんいらっしゃると思うんですが、私がよく若い方々の集会で紹介する若きマルクスの言葉を紹介したいと思うんです。マルクスが16歳の高校生の時に書いた論文で「職業選択に関する一青年の考察」っていうのがあるんです。これはマルエン全集にも入っるんですけど、マルクスの幸福感が述べられています。彼はその中で最大多数の人を幸福にした人が最も幸せな人なんだっていう結論を導くんです。そういう中でこそ個々人の人格の完成もあり得るんだということを結論として述べている。たくさんの人を幸せにする人が一番幸せになる。 もちろんたくさんの人っていう場合、全人類を救うと言ったらそう簡単な話じゃないんだけど、まず隣にいる方そばにいる方お近くの方1人でも2人でも幸せにする、そのことを自分の幸せと感じる。これは日本共産党にも引き継がれてる生き方だと思うんです。そういう集団が日本共産党ですのでこの機会にどうか入党していただきたいということを最後に 訴えます。

(終わり)

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