日米地位協定ー沖縄からの告発
(要約)
2021−3−17 一部訂正
日米地位協定とは何か
目次
はじめにー日本の2つの法体系
(1)地位協定の成立過程ー対米従属を貫く原理の存在
(2)米軍の特権とは
1.全土基地方式
2.排他的管理権
3.刑事裁判権
4.民事裁判権
5.経費負担
6.日米合同委員会
おわりに
はじめにー日本の2つの法体系
・憲法を頂点とする法体系 「軍事によらない平和」
・安保法体系 「軍事による平和」
地位協定とは、日米安保条約に基づいて、我が国に駐留する米軍および構成員(軍人・軍属)の我が国国内における法的地位や権限を定めた日米間の合意(協定)のこと。
(1)地位協定の成立過程ー対米従属を貫く原理の存在
ダレス:安保条約を締結する目的は「米国が望む兵力を望む場所に望む期間だけ駐留する権利を確保すること」
国会による民主的コントロールを抜きにして、米軍が自由に行動できるようにするのが行政協定 → 1960年に地位協定に名称変更
その後、一度も改訂されていない。
(2)米軍の特権とは
1.全土基地方式ー無限定な望む場所の基地化
京丹後市のXバンドレーダー基地、など
他国(ドイツ、イタリアなど)には例を見ない。
米軍と自衛隊の一体化。→ 米軍は侵略的軍隊なので、
自衛隊が専守防衛ではなく侵略のための「自衛隊」になる。
沖縄の基地負担の軽減は、全土への被害の分散であっては
ならない。
2.排他的管理権
地位協定により、米軍基地内では、日本の法令を排除して、
米軍が自由に管理運営できる。米軍基地は治外法権下。
(航空管制権)
横田ラプコン、嘉手納ラプコン 米軍機の運用が優先
(環境立ち入り調査権)
有害物質の垂れ流しの調査権は日本政府にはない
基地の返還後も現状復帰義務は米軍にはない
〔警察権)
日本の警察権は米軍基地の中には及ばない。
(航空法の適用除外)
クリアゾーンがない
基地建設予定地の高さ制限がない
低空飛行が可能 人口密集地は300m、その他では
150mという航空法に拘束されない
米軍機の騒音に対し差し止め請求ができない
3.刑事裁判権
地位協定では公務中の犯罪の第一次裁判権はアメリカ、
公務外の犯罪の第一次裁判権は日本にあると定められている。
実は公務外の犯罪につき著しく重要と考えられる事案を除き、
日本には第一次裁判権を行使しないと言う密約が有る。
→日本国民の起訴率は42%、米兵の起訴率は13%
<公務中と公務外>
現地司令官が公務証明を出せば公務中と推定される。
現地司令官の裁量。
元海兵隊員のアレン・ネルソン氏「米兵は訓練により殺人性と
言う習性を身につける」
→米兵の犯罪が増える。
公務外でも身柄が米軍の手にあれば起訴まで身柄の引き渡しは
されない。
<捜査・差押え>
日本の捜査機関による米軍財産の捜索・差押えが禁止されている
(基地内外を問わず)。米軍は米軍財産保護のために公有または
私有地に立ち入ることができる。(日米合同委員会の合意議事録
(密約)より) →沖縄県は改正要請している
事例:沖縄国際大へのヘリ墜落など。
4.民事裁判権ー被害者救済の遅れと血税の投入
地位協定では民事裁判権についても公務中と公務外を区別。
公務中の不法行為については日本政府が責任を負担。
米兵の公務中の事件・事故に関する損害賠償は被害者は日本政府
を相手に裁判。
米軍に100%責任があっても日本政府は税金から25%負担。
米軍機の騒音被害ではアメリカが負担したことは無い。
公務外では米軍人の個人負担
→外国人賠償法で慰謝料として被害額の3割負担。
裁判所の認定した賠償額との差額は日本政府が負担。
★本来、刑事事件でも民事事件でも公務中と公務外の区別は不当
5.経費負担ー自発的従属性の帰結
地位協定では米軍基地の施設や区域の提供は無償。
加えて「思いやり予算」1978年に開始。法的根拠なし。
労務費、水道光熱費、訓練移転費、施設建設費がある。
当初63億円→現在は年間約2000億円。
6.日米合同委員会ー対日軍事支配の役割を担う機関
地位協定に規定。月2回実施。
日本は局長クラスの官僚、アメリカは米軍の高官(米大使館の
公使が一人)
軍事についての取り決めで日本が拒否した例は無い。非公開。
おわりにー安保条約の廃棄と非軍事平和への希求
背後にある安保条約を抜きにして地位協定改正問題を語ることは
結果として安保条約を守る防波堤の役割を果たすことになる。
地位協定改正問題を自己完結的に語ることは不当。
安保条約を支持する人が国民の82%
→安保の実態が知られていない。安保について語られなくなった。
軍事力によらない平和を希求する必要がある。
安保条約10条による終了の通告すれば条約は1年後に終了